【アイドル事件】小学生アイドルが芸能会社に勝訴 | 私は労働者!

こんにちは。
弁護士の林孝匡です。
今回は、
元アイドル(グループB)事件
東京地裁 H28.7.7
を解説します。
です。
どんな事件かというと、
会社が、
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チミ、イベント欠席したよね。20回以上も
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損害を賠償してね。203万円
と、ゴリゴリ請求。
小学生アイドルと両親は、



いや、イベントの前に契約を解除したじゃないですか…
と反論しましたが、
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3年縛りの契約だから解除できないっつーの!
という、イザコザです。
法廷へGo!
裁判では、
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アイドルの弁護士さんは、



解除できますよ。だって、この方は【労働者】ですから。契約から1年たったら解除できるんです
と主張。
これに対して、会社は、
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いや、この子、個人事業主だから!労働者じゃないって!ねぇ、裁判官さん!
と反論。
裁判官は、



いや、【労働者】だね。だから契約解除は有効ね



ってことで、アイドルの勝ち!
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ぐぬっ…



やったー!
という裁判です。
====
この記事を読んでほしい方は、特に、
会社から、



キミは個人事業主だからね。労働者じゃないよ。そこんとこ理解しといてね
と、言われてる方です。
いやいや、
【労働者】にあたれば、こんな権利が ↓
- 労災を受けれる可能性
- 未払い賃金
- 残業代
- 解雇予告手当(解雇された場合)
などなど
ちょびヒゲ社長に泣かされてる方を
ザッとあげると、
- メディア関係者(撮影助手など)
- 芸能関係者
- ホスト、ホステス
- 美容師
- 建設業の1人親方
- 営業さん
- 情報通信技術者(SE・プログラマーなど)
- 料理人
- 清掃業
- 運転手
などなど。
この記事を読んで、



契約の名前は、業務委託だけど….



実質は、雇用だよ…ね。【労働者】かも
と思った方は、
フリーランス・トラブル110番
に相談してみましょう。
それでは、解説に参ります。
経緯


タレントとして契約
会社のオーディションを受けたとき、何歳でしたか?



11歳です。小学5年生でした



まずは、見習いとして始まりました
なるほど。
その後、会社と契約を結びました。
- 専属タレントとなる所属契約
- 期間は、3年
どんな活動をしていたか


彼女が所属していたのは、
10人くらいのグループ。
歌ったりダンスしたりの、
いわゆるアイドルグループでした。
そのほかの活動としては、
- ファンと交流
- ファンと散歩
- コスプレを着ての撮影会
- ファンと2ショットプリクラ
などもしていました。
あと、個性的なサービスが【ビンタ】


元気ですかー!
アントニオ猪木スタイルですな!
「辞めたい」とメール


アイドルとしての活動が、
かなりキツかったんでしょうか…。
所属から約2年後、
彼女は、会社に対し



・・・
グループを辞めたいです
とメールを送りました。
しかし、会社は
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ダメだ
と、受け入れず…。
イベントを欠席する
その後、彼女は、会社に対し、



もうイベントには出れません
と伝え、イベントを5回欠席しました。
その後、
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会社と彼女・ご両親との間で
話し合いの場が持たれましたが、決裂…。
そのあとも、彼女は、
イベントを19回欠席しました。
会社の言い分
会社は怒ったんです。
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あの子が欠演したから、ウチに損害が出たじゃないか!
こんな損害が出た、
と主張しました ↓
- 混乱に対応したスタッフの人件費
- 出演してれば儲けれたはずの利益
- ホームページの修正
- 写真の撮り直し費用
など。
そして、
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合計203万円を賠償しろー!
と、ブチギレて、訴訟に突入しました。
なぜ、アイドルは勝てたのか?
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なぜ、彼女は勝てたのか?
それは、
- 【労働者】と認定されたから
- イベント前のメールが【解除】と認定されたから
順番に解説します。
労働者と認定
会社は、
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この子、個人事業主ですって!労働者じゃないって!ねぇ、裁判官さん!
と主張したのですが、



シャラップ!労働者だよ
と認定されました。
くわしく見ていきます。
会社の主張
会社は、厚生労働省の通達を持ち出して、
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この子は、労働者じゃない
と主張しました。
その通達には、こう書かれています。
以下の4つすべてを満たす場合は、労働者じゃない。
- 当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸術性、人気等当人の個性が重要な要素となっている
- 当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと。
- リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはないこと。
- 契約形態が雇用契約でないこと
昭和63年7月30日基収355号(通称:光GENJI通達)
この通達を根拠として、会社は、
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この子は、代わりになるような子がいない特別な子なんですよ
と主張したのですが、
裁判官は、



いや、他人によって代替できないほどの芸術性を有してるとはいえない
と認定。
また、会社は、
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スケジュールは彼女の要望を受け入れてますよ!時間的拘束性ナシです!
と主張したのですが、
裁判官は、



メールで仕事内容などを指示しているし、夜間の仕事も多いよね



約1年間で、午後8時以降が50回以上もあるじゃん!



時間的拘束生がない、とは言えない
と認定。
会社は、
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配慮して、仕事は土日祝に入れてますよ!
と主張したのですが、



小学生なんだから当然でしょ
と一蹴。
裁判所の判断
会社の反論をコテンパンにしたところで、
お次は、裁判所の判断です。



彼女は【労働者】である
と認定しました。
その理由は、主に3つ。
指揮監督の下、時間的場所的拘束を受けてた
会社は彼女に対し、メールで仕事内容・場所を送信していた
仕事を断れない
難しい言葉でいえば、
業務内容について諾否の自由がない。
労務に対する対償として給与の支払いを受けていた
具体的には、↓判決そのまま
歩合給を前提とする給与体系がとられており、イベント等におけるメンバーに係る売上げの30%が給与として加算され、その他関連するグッズ等の売上げについても一定の割合で算定・加算され、1ヶ月ごとに給与明細に算定された給与額が記載され、その際、源泉徴収も行われていた。
これらを


ミックスして検討した結果、



彼女は【労働者】である
と結論づけました。
====
労働者と認定されたら、勝機が見えました!
あとは、メールが解除と認定されれば勝ちです。
【労働者】なら、
契約から1年たってたら、解除できるんです
労働基準法 137条
期間の定めのある労働契約〜を締結した労働者〜は、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
メールの内容は【解除】
さて、会社は、
アイドルが送信した
グループを辞めたいです
というメールについて、
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グループを辞めたい、っていう希望を述べられただけです。解除の意思表示ではありません
と主張しましたが、裁判官は、



いやいや、ほぼグループ活動しかしてなかったんだら、グループを辞めたい=契約解消の意思表示っしょ
と認定。
契約解除を認めたくない会社は、
まだネバりますよ。
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この子、「3年間は頑張ります!」って誓ったんですよ!
と主張。
しかし、裁判官は、



んな証拠ないじゃん



ていうか、そら言うだろ。解除は有効!



損害賠償請求は、認めまへん!
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ぐぬぅ…



やったー!
まとめ


【労働者】になるかどうかは、
さまざまな事情が考慮されて決定されます。
裁判官は、
厚生労働省の
労働者の判断基準について をもとに、



ふむふむ。今回はどうだろうか
と判断します。
お時間があればご覧ください。
今回のように勝った裁判もあれば、
負けっちゃた裁判もありますが、
こんな権利が与えられるので。
- 労災を受けれる可能性
- 未払い賃金
- 残業代
- 解雇予告手当(解雇された場合)
などなど
もし、



キミは個人事業主だからね。労働者じゃないよ。そこんとこ理解しといてね
と言われてて



契約の名前は、業務委託だけど….



実質は、雇用だよ…ね。【労働者】かも
と悩んでる方は、一度、
フリーランス・トラブル110番
に相談してみましょう。
ほなまた!