【裁判事例】仕事を与えないパワハラ|3ヶ月でうつ病に【労災ゲット】

弁護士の林 孝匡です(プロフィール

意味のないファイル整理を1日中やらされるの

僕なんか、追い出し部屋みたいなところで1日中、座ってろって

やることがない
って、めちゃキツイですよね。

実は、
仕事を与えないのも、
パワハラなんです。

裁判になった事件があります。

仕事を与えないパワハラで、うつ病に。
高裁まで行って、労災を勝ちとった

というパワハラ事件です
中国新聞システム開発事件/広島高裁 H27.10.22

こんな事件です。

うつ病になってしまったXさん
(男性・当時40歳)

労災をもらいたい

労災を申請(休業補償給付の請求)
したんですが、

労働基準監督署は、

労働基準監督署

ダメ〜

と、棄却。

労働基準監督署

パワハラが原因でうつ病になったとは言えない

とバッサリ。
正式用語 : 業務上による強い心理的負荷によって発症したとはいえない

Xさんは、
労災認定を求めて訴訟

ジャッジメント

地裁は、

地裁

ダメ〜

と、棄却。

こんちくしょー!

Xさんは、あきらめず、控訴!

広島高等裁判所は、

高裁

労災、認めるよ!仕事を与えないパワハラが原因でうつ病になってるじゃん

Xさんの労災請求が認められました!

3年にもわたる裁判。
Xさん、本当におつかれさまでした。

この判決から、
↓ こんな教訓が得られます。

判決から得られる教訓
  • 診断書は必ずとろう
  • 診療録は医者にカナリ詳しく書いてもらおう(裁判官をコチラに引き寄せるため)
  • 上司の発言は必ず録音しよう
  • どんな出来事があったのか、あなたも細かくメモしておく
    証拠は合わせ技で強くなる

↓ 今回も

引用:労働判例No.1131

↑ はぅ・・・、zzz

この要約にKOされそうになりながら、
判決すべてと解説を読みました。

あなたに理解していただけるように、

↓ 釣り上げたマグロから

↓ 大トロだけをとりだして、ご提供しております

仕事を与えられないパワハラにあってる方、
パワハラ対策を知りたい方、

どうぞ、ご賞味ください。

タップできる目次

こんな会社

まずはザックリ、会社の概要を。

会社は、
コンピューターのソフトウェア開発や
システムの運用保守
などを行っていました。

Xさんが所属していたチームは、
全員で6名。

人数の少ない組織ほど、
パワハラが起きやすいです

チームがやっていた仕事は、
新聞社関連のシステム開発。

登場人物

Xさん(40歳・男性)

うつ病で6ヶ月休職したあと、職場に復帰。しかし、だんだんと会社から疎外され。最終的には仕事を与えられず。それが3ヶ月つづき、再びうつ病を発症

上司Y(マネージャー)

仕事でミスをするXさんを徐々に追いこんだ。退職することを勧めたが、Xさんが応じないため、仕事を与えないというパワハラを実行

上司Z(直属の上司)

上司Yに同じく。

うつ病になるまでの経緯

ざっくりまとめます。

6ヶ月間で、
↓こんなことが起きました。

ざっくりの経緯

Xさんが、別のうつ病で6ヶ月休職

Xさんが職場復帰

仕事内容は、簡単なものからスタート

少しミスが続いた

上司

うーん。どうしたものか

ストレスのかかっている仕事から、業務変更。
しばらく様子を見たが、

上司

やっぱダメだな。社員として戦力にならないよね


退職を勧められる。
が、Xさんは断る

雑用的なことを命じられる

さらに、部屋への入室を禁止される

最終的には、仕事を与えられず(3ヶ月間)

Xさんが、再びうつ病を発症

↑ ギュッと凝縮すると、
こんな感じです。

会社がやったこと

まずは、Xさんの仕事ぶりから。

復帰後のXさんの仕事ぶり

6ヶ月の休暇を経て戻ってきたXさん。

まずはストレスのかかりにくい仕事
ということで
カンタンな事務作業などを任されました。

でも、ちょっとミスがあったんですね。

  • 取引先からの問い合わせへの回答を忘れる
  • セキュリティ関係のミス
  • 取引先へ納品するデータのミス

など。

会社側は、

上司

うーん。どうしたものか

という感じでした。

あと、
Xさんは、
復帰をあまり歓迎されてなかったのか、

Xさん

挨拶しても、誰も返してくれなくなりました

この頃から、
挨拶を無視されるようになりました。

実は、無視もパワハラです。
詳しくはコチラ
【職場で無視されてる?】それ、パワハラです|うつ病になる前に対策

業務の変更

会社は、

上司

Xにお金まわりの仕事をさせるのは危険だ

と判断し、
Xさんに対し、

上司

資料作りだけをするように

と指示を出しました。

この点について、
裁判官は、

これは、特に問題はない

と判断しました。

ザックリ言うと

Xさんの体調に合わせた仕事の割り振りだ

と。

退職を勧められる

このころから、会社は、
Xさんを退職させたかったようです。

上司Yが、Xさんに対して、

上司

今のキミの仕事ぶりでは戦力になっていない。このような状態が続くなら会社としても厳しい。両親とも話をして今後のことを考えてみたらどうか

と、退職勧奨しました。
合計3回。

しかし、Xさんは応じませんでした。

上司

チッ

ってな感じでしょう。

会社は、

上司

よし、あの(どうでもいい)仕事をさせよう

と決め、

部品の廃棄作業

部品の廃棄作業をするよう命令しました。
部品をハンダゴテで焼いて穴をあける作業。

嫌がらせの匂いプンプン
この時期にしなければならない作業
じゃなかったので。

でも、裁判官は、

これも特に問題はない

と判断。

廃棄作業は不要だっとはいえない。会社がいつやるか自由に決められる

と。

マシンルーム内の掃除

お次は、

上司

マシンルーム内を掃除せよ

と命令しました。

これ、会社が無理くり作り出した仕事です。
掃除なんて誰もしてなかったんです。

Xさんもさすがにキレました。
何日か掃除したんですが、

こんなバカバカしいこと、できません!

そらそうだ。

おなじく裁判官もブチ切れる!

と思いきや、

これも特に問題はない

と。

おぉ・・・マジか。

理由はザックリ

掃除が不必要とはいえないし、Xさんの仕事も減ってたから、掃除命令は不当とまではいえない


けっこうハードル高いのね。

さて、

裁判官の仏の顔も、ここまで

↓ これからは、お叱りスタート!

基幹システム室の入室禁止

会社は、Xさんに対して、

上司

今後は、基幹システム室へ入らないように

と命令しました。

基幹システム室に入れないと、いくつかの仕事ができなくなる

会社がこの命令を出した理由は、

上司

Xに機械まわりをうろつかせてはマズイ

と思ったからなんです。

↓ こんなことがあったから

  • Xさんが部品の廃棄作業を部屋の中でやった
  • 外でやれと注意したのに聞かなかった

入室禁止命令によって、
Xさんは、
印刷サポートなどの仕事ができなくなりました。

この命令について、
裁判官は、

この命令、合理性ないよ!

ざっくり理由を説明すると、

Xさんに機械まわりをうろつかせても、危険ないじゃん

ってことです。

林の見解

ナゾの理由での仕事の取り上げは、パワハラです

Xさんの熱意を、会社は受け入れず

そのあと会社は、

上司

キミは何ができるのか、一覧表にして提出しなさい

と命じました。

Xさんは、
いろいろと書いて提出しました。

しかし、上司は受け入れず。
これまでどおり、一部の資料作りだけを認めました。

Xさん

くっそ〜

かなり怒りを覚えていたのでしょう。

マシンルームへの入室禁止

ある日、上司Zが上司Yに、

上司Z

Xが怖い・・・殺意を感じます

と報告しました。

資料作り以外できないXさん。
かなり形相が変わっていたのかもしれません。

上司Y

危険かも。膨大な個人情報があるマシンルームに入れるのは

と判断し、
Xさんに対して、

上司Y

これからは、マシンルームの中に入ることを禁止する!

と命令しました。

で、

上司Y

マシンルームの中にあるキミの席を、一般社員がいる大部屋に移しなさい

とも命令。
これで、ほぼチームの仕事ができないも同然

これについて裁判官は、

なんて命令だ!合理性ナシ!

と判断。

Xさんに疎外感を与える措置だ。仕事を与えられてないことによるストレスが相当かかっただろうよ

と判断。

林メモ

ここ同じ。ナゾの理由仕事を与えないのは、パワハラ。
殺意を感じる、って、何だよ

3ヶ月間、仕事を与えない

そして、一切、
仕事を与えられなくなりました。

それが3ヶ月続いたころ、

Xさん

う・・・・うっ・・・

Xさんは、うつ病になってしまいました。

会社は、
仕事を与えなかったことについて、
色々と主張したのですが、

裁判官は、

仕事を与えないのは、合理性ナシ!

と判断。

裁判所のザックリ判断
  • 雑用などをずっとやらせたりする嫌がらせ
     →場合によってはパワハラにあたる
  • 仕事を与えない嫌がらせ
     →パワハラ

パワハラの6類型【仕事を与えないこともパワハラ】
詳しくはコチラ
【パワハラされてる人!必見】パワハラ防止法の定義を解説|裁判例あり

そら、うつ病になっちゃうよね

ここまでをまとめると、
会社がやったダメなことは、

ダメなこと
  • 基幹システム室への入室禁止
  • マシンルームへの入室禁止
  • 3ヶ月もの間、仕事を与えない

裁判官は、

うつ病を発症させるくらいのストレスだった

と認定しました。

で、
Xさんが提出した診断書を証拠として、

会社の嫌がらせとうつ病との間に、因果関係がある

と認定しました。

診断書、めちゃクソ大事です!
裁判官は、診断書をかなり熟読します。
なので、症状を詳しく書いてもらいましょう

林メモ

裁判って、ホントどちらに転ぶ分からないです。
裁判官は、同じ事実と証拠を見てるのに、

地裁は、

裁判官

因果関係なし。Xさんの負け

と判断し、

高裁は、

いや、因果関係ある。Xさんの勝ちだ!

と真逆の判断。

これはコントロールできません。
とにかく、あなたができることは、
有利な証拠を集める
これだけです。

あとは天に任せましょう

裁判の長さ

かなり長いです。
歴史です。

↓ H21.12にうつ病を発症してからの流れ、

H22.10.27 労災の請求(休業補償給付)
H23.5.31  認められず
H23.7.2   審査請求
H23.12.1  認められず
H23.12.28  再審査請求
H24.7.6  認められず
H24.11.28 訴訟を提起
H27.3.4  地裁の判決(負け)
       →控訴
H27.10..22 高裁判決(勝訴!)

労災請求から、約5年で勝ちとることができました。

くやしかったこと

1つ、悔しかったことが。

Xさんは、

Xさん

上司2人から暴言を吐かれたんです

と主張しましたが、

証拠ないですよね

とバッサリ。

証拠がないと、ホント冷徹です。

なので、録音しましょう。
証拠が命

証拠の集め方はコチラ
【ゼッタイ必要な証拠】パワハラ上司&会社を訴えるため【9つを厳選】

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同じような事例

仕事を与えない
同じような事例がありました。
日本郵便逓送事件 京都地裁H16.7.15

3ヶ月もの間、
1日中、1人で机に座らせました。
誰も来ない会議室でポツンと。

裁判官は、

裁判官

人格権を侵害する

と判断。

キャプション

仕事を与えないことがパワハラになることは、ほぼ確定でしょう

この事件から得られる教訓

最後に。
Xさんが残してくれた教訓をまとめます。

判決から得られる教訓
  • 診断書は必ずとろう
  • 診療録は医者にカナリ詳しく書いてもらおう
    (裁判官をコチラに引き寄せるため)
  • 上司の発言は必ず録音しよう
  • どんな出来事があったのか、あなたも細かくメモしておく
    証拠は合わせ技で強くなる

裁判は、
戦う前に勝負が決まっています。

証拠があれば勝てる。
なければ、負ける。

残念ながら、
裁判官の判断はコントロールできません。

コントロールできることは、
証拠を集めることです。

パワハラにあっているあなたのお役に立てれば嬉しいです。

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