【裁判事例】なんと!弁護士事務所でパワハラ【女性秘書への暴言】

弁護士の林孝匡です(プロフィール

キミは、
気持ちわるい男が好きなのか?

事務員のトップのオッサンが、
部下の秘書(女性)にパワハラをしました。

なんと。
弁護士事務所で起きたパワハラ事件です。
(弁護士法人レアール法律事務所事件/東京地裁 H27.1.13)

認められたパワハラ
  1. 「はぁ?理解不能」と書いた紙を、部下の机の上に置く
  2. 「徹底的やるぞ!」と脅す
  3. 「あなたのやったことは横領だよ」と犯罪者呼ばわりする
  4. 「キミは気持ちわるい男が好きなのか?」と侮辱

認められた慰謝料20万円です。
暴言だけでも、
だいたいこれくらい認められますね。

さらに、Xさんは解雇されたんです。

裁判官

けしからん!
解雇は無効だ!

って判断されたので、

さらに上乗せです。

・解雇無効によるバックペイ 
 なんと400万円(あとで解説します)

まだ終わりません。
この弁護士事務所は、
残業代も払ってなかったんです。

なので、さらに上乗せ

・残業代 約69万円
倍返しだ! 約69万円
付加金・あとで解説します)

以下、パワハラを重点的に解説しますね。

タップできる目次

どんな弁護士事務所?

登場人物
  • Xさん
     パワハラを受けた部下
  • 事務局長Y
     パワハラをした上司
     事務員7人のトップ

この弁護士事務所は、
借金整理をあつかう弁護士事務所でした。

弁護士は4名
事務員は8名(Xさんと事務局長Yを含めて)

よくある小規模な事務所です。
小規模な職場ほど、
パワハラって起こりやすいですよね。

解雇されるまでの経緯

入社から解雇まで
  • Xさんは、まずアルバイトで採用されました。
  • 3ヶ月後には正社員になりました(電話受付を担当)
  • その3年半後には、借金整理の事務を担当することになりました。
    ※ けっこう大変なお仕事です。仕事量が多くプレッシャーもでかい
  • その10ヶ月後、Xさんは解雇されました

弁護士事務所は、
Xさんを解雇した理由を30個もあげてます。

仕事上の細々したミスです。
「経理上の支払いが1日おくれた」
「依頼者から連絡があったことを事務局長Yに伝えたのは5日後だった」
みたいな細々したミスを30個。

しかし、裁判所はザックリ

裁判官

ミスじゃないでしょ。弁護士事務所がキチンと業務体制を整えてなかったのも、1つの原因よね。解雇は無効!

と判断しました。

ーーー

パワハラから話はそれますが、
バックペイの話をかるく。
興味のある方だけどうぞ。

驚くべきボーナス請求

解雇が無効なら、
バックペイを請求できるんです。
なんと!
〈解雇の日から→→→裁判が終わる日までの給料〉
を請求できるんです。

驚天動地のボーナス請求
じゃないですか?
裁判中、ず〜〜〜っと働いていないのにもらえるんですよ。
新しい職場で働いてたとしても、
もらえます
※ 新しい職場での給料分をいくらか差し引くみたいな計算がありますが

条件があります。
裁判で

元の職場に戻りたいです

と表明しておかなければなりません。
「ふん!あんな職場に戻るつもりなんかない!」と言ってしまうと、
バックペイもらえません。
ご注意を。

この事件では、400万円のバックペイが認めれらました(約1年2ヶ月分)

1年2ヶ月後には別の法律事務所で完全に働くことになったんです。
〈元職場で働く意思は消え失せた〉と認定されました。

それまでの間ってことです。
それでもスゴイですよね。
バックペイ

お待たせしました。
お次は、パワハラです。

パワハラ1(はぁ?理解不能)

事務局長Yは、Xさんの机に、↑こんなことを書いたA4用紙を置きました。
大きく乱雑な文字で
と認定されています。

正確には、

X 様 へ 

はぁ〜??時効の事ムで受任(@52500)じゃないんでしょ?
なぜ減額報酬を計上しないの??ボランティア?はぁ〜??
理解不能。今後は全件Cさんにチェックしてもらうようにして下さい

これについて、裁判官は、

裁判官

上記の文書を置いたことは、その文面自体から業務指導の範囲を超えた原告に対する嫌がらせとみるほかない。不法行為にあたる

と判断しました。

文面が詳細に認定されてます。
なので、Xさんは、
その用紙をスマホカメラで撮ったんじゃないかな〜

もし証拠がなければ、
上司はゼッタイに

神に誓って、
そんなことを書いていません

とシラを切ります。
シラを切られると、負けます。

なので、何かされたら写真をとって証拠を残しておきましょう
裁判で強力な武器となります。

証拠が命です。
コチラの記事もどうぞ
【証拠9選】パワハラ上司&会社を訴えるために【ゼッタイ必要】

パワハラ2(徹底的にやるぞ!)

Xさんは、
仕事の進め方の見直しをお願いしました。

和解する前に、弁護士さんに確認していただきたいのですが

【和解】とは、消費者金融と弁護士事務所側の和解のことです。

「利息カットで借金30万円でどうですか?24回ばらいで」みたいな。

というのも
Xさんは、不安になってたんですね。

弁護士さんの確認がないのに私が勝手に和解を進めたら
非弁になるんじゃないか

〈非弁〉とは、弁護士じゃない人が法律業務を行うことです。
コレ違法なんです。

〈弁護士法72条〉
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

Xさんの心配は、ごもっともです。
Xさんが〈非弁〉をすると、
刑罰を課されるおそれがあるからです。

弁護士法77条 

次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処する。
3号 第72条の規定に違反した者

なのに、事務局長はブチギレ。

事務局長

誰かに入れ知恵されてんだろ。お前の彼氏は確か弁護士になりたかったって言ってたな。それともお前の親族がウチが〈非弁〉だって言ってんだろ。うちの事務所にタカろうとしてるんだろ。そっちがその気なら徹底的にやるぞ

と吐き捨てました。

これについて、裁判官は、

裁判官

事務局長の言動は、業務体制の改善の提案をした原告に対して
逆に不利益を課すことをほのめかすものであって、不法行為を構成する

と判断しました。

パワハラ3

横領だよ発言

Xさんが
精算関係の仕事でミスをしてしまいました。

すると、事務局長は

事務局長

これこそ横領だよ

と言いました。
ほかの職員さんがいる前で

この発言について、裁判官は、

裁判官

原告を犯罪者呼ばわりしたことは不法行為にあたる

と判断しました。

裁判所は、叱る場所を重視してると思います。
他の社員がいる前で〉叱る必要あったか?と。
叱るなら個室で指導すべき、
という考えが多いです。

なので、ほかの社員がいる前で怒鳴りつけられてる方は、
パワハラ裁判で勝てる可能性あります。録音しましょう。

恋人へ送ったメールが証拠として使えた

Xさん、スゴイです。

事務局長

これこそ横領だよ

と言われた日、
恋人へメールを送ってたんですね。

どんなメールかは、
判決文からは分からなかったですが、
〈事務局長から横領と言われた〉
との記載があったんでしょう。

裁判官は、
このメールを証拠として、
「横領発言はあった」
と認定してくれました。

↓ 判決そのままです

裁判官

事務局長YがXさんに対し「これこそ横領だよ」と言ったとするXさんの供述は、Xさんが当日交際相手に送ったメールの記載に裏付けられており、信用できる。

録音が最強なのですが、
この方法も使えますね。
何かパワハラされたときは、
その日のうちに、誰かにLINE
などしておきましょう。
家族・恋人・友人など。

裁判官が
証拠として採用するかは未知数です。
が、可能性があるので、やっておきましょう!
証拠は合わせ技で強くなります。

パワハラ4(気持ち悪い男が好きなの?)

事務局長Yは、Xさんの接客態度について、

事務局長

気持ち悪い接客をしているから、こういう気持ち悪いお客さんにつきまとわれるんだよ。Xさんは、こういう気持ち悪い男が好きなのか

と言いました。

この発言について、裁判官は、

裁判官

原告に対する侮辱であって、不法行為にあたる

と判断しました。

この発言も、
恋人へ送ったメールが証拠して採用されてます。

裁判官

上記発言は、Xさんが当日交際相手に送ったメールの記載に裏付けられており、信用できる

と判断してくれました。

その他のパワハラは立証できず

Xさんは
〈そのほかにもパワハラがあった〉と主張していました。
※ 判決文では省略されており分からず

でも、裁判官は、

裁判官

その他のXさんの主張は、的確な裏付けを欠いており、採用できない

バサッと切りました。
厳しいですが、これが裁判です。
証拠が命です。
さきほども挙げましたが、
コチラの記事もどうぞ
【証拠9選】パワハラ上司&会社を訴えるために【ゼッタイ必要】

慰謝料

4つのパワハラを合わせて、
慰謝料20万円です。

暴言だけの場合は、5〜数十万が相場です。
うつ病などになってしまった場合は、
3ケタになるケースも多いです。

裁判の長さ

約1年半です。
だいたい9ヶ月〜1年で終わるので、
ちょっと長いかなという感覚です。

相手の出方次第で
裁判は長引くことがあります。

倍返しの残業代

さらにですよ。
残業代が、約69万円みとめられました。

もいっちょプラスして、
倍返しの約69万円も認められました。
なので、69万+69万=138万円。

倍返しは、付加金ってやつです。
〈残業代の未払いがヒドイなー〉って時に、
裁判所が認めてくれます。

労働基準法・114条
裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。

付加金の支払いを命じないこともあるんですが、
この事件の裁判官、めちゃ怒ってます。

裁判官

むむむ!
けしからん

法律上、最大限の倍返しを命じました。

おしまいに

まとめると、

認められたパワハラ
  1. 「はぁ?理解不能」と書いた紙を、部下の机の上に置く
  2. 「徹底的やるぞ!」と脅す
  3. 「あなたのやったことは横領だよ」と犯罪者呼ばわりする
  4. 「キミは気持ちわるい男が好きなのか?」と侮辱

で、慰謝料20万円が認められました。

録音や写真最強です。
パワハラされそうなときは、
どうやったら録音・写真に残せるだろうか
を工夫してみて下さい。

今回のXさんで言えば、
「はぁ?理解不能」
と書いた紙をスマホで撮った
ことはグッジョブでした。

それができなかったとしても、
今回のように誰かにLINEなどするという方法も実践してみて下さい。
コツコツとLINEです。
できるだけ詳しく書いて下さい。

証拠は合わせ技で強くなります。

1つでも多く証拠を確保できるよう
応援しています。

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