【裁判事例】詐欺っぽいサプリ会社でパワハラ|荷物まとめて出てけ!

弁護士の林孝匡です(プロフィール

テメーら!
老人に売りまくれー!

みたいな会社です。
詐欺まがいのサプリ販売会社で起きた
パワハラ事件
美研事件/東京地裁 H20.11.11

Xさん(女性)が、
おもに女性上司2人からイジメられました。

裁判所が認めたパワハラは

パワハラ
  • 18万円の損害をどうしてくれるんだ!と怒鳴る
  • 仲間はずれにするイジメ
  • 「あなたはウソつきだ!」
    と名誉を毀損
  • 「30分で荷物まとめて出てけ!」
    と怒鳴り、ホンマに出て行かせた

Xさんはうつ病になってしまいました。
さらに、解雇されました。

Xさんが損害賠償請求。
訴えられたのは、女性上司2名と会社。

裁判所が認めたのは、

裁判所が認めた金額
  • 慰謝料 80万円
  • 治療費 約5万円
  • 逸失利益(1年分) 225万6000円

※〈逸失利益〉とは、

裁判官

パワハラが原因で1年間はたらけない体になった。
だから1年分の収入を賠償せよ

ってことです。
この事件、これがデカイですね。
※ 年数は事件によって変わります

会社は、裁判で大ウソ連発。
そして撃沈。

詳しく解説します。

タップできる目次

どんなクソ会社?

灰色の巨塔
登場人物
  • パワハラされた方:Xさん(女性)  
  • パワハラした上司:Y部長(女性) 
  • パワハラした上司:Z課長(女性)

パワハラに進む前に、会社の概要を。
かなりワルです。

健康サプリを、
カナリ強引な手法で売ってました。

裁判で認定された営業のやり方は、

あこぎな営業
  1. 顧客にTEL
    ※ 顧客名簿は他社から購入したもの
    (健康食品を買ったことのある人の名簿)
  2. 2000円の試供品を勧める
     医療的な効能があるとのセールストークを交えて
    ※ 違法です。このサプリは医薬品じゃないので
  3. 初回購入分が切れるころに再びTEL
     18万円のセットを購入するよう働きかける
     強引に売りつける社員もいた
  4. 現金払いが難しい人には、リボ払いを組ませていた

こういうあこぎな営業をしてたので、
国民生活センターに、
苦情がバンバン寄せられていました。

名簿って、出回ってるんですね。
健康食品をよく買うご両親をお持ちの方は、ご注意を!
トラブったときは、国民生活センター

Xさんや数名の社員は、
このセールストークおかしくない?
と感じてました。

で、Y部長・X課長に質問したりしましたが、
取り合ってもらえず。

質問してくるXさん達は不平分子とみなされ
疎外されてました。

Xさん

会社の方針に反対する人は、仕事を与えないなどの嫌がらせをされました。正社員からテレアポのアルバイトに降格させたり。辞めない人にはイジメがエスカレートしました。

裁判では、
いろんな証人が登場し、

あこぎサプリ会社軍団 
   vs 
良識ある社員たち

という構図になってます。

裁判官は

裁判官

この会社、クソやな

と思ってくれたのか、

カナリすんなり、
良識ある社員たちの証言を
信用しています。

会社のクソさは
これくらいにして、
パワハラに進みます。

パワハラ1(18万円の解約どうしてくれるんだ)

18万どうしてくれるんだ!

顧客AさんからTELがあり、
クレームが入りました。

顧客

あなたの会社は詐欺です。高齢者ばかりを狙ってこんなことを繰り返してる。消費者センターに訴えますよ。解約させてほしい。

このクレームを聞いたXさんは、
Z課長に指示を仰ぎました。  

Z課長は

Z課長

解約して

と指示しました。  
なので、Xさんは解約手続きを進めました。

ーーー 

ある日、本社から専務がやってきました。
年末商戦のテコ入れ会議です。

その会議の席上
専務が、

専務

18万円の損害、どうしてくれるんだ

と、Xさんを罵倒しました。

Xさんは、 

Xさん

え・・・。
私が勝手に解約したのではありません

と言いましたが、

専務は、

専務

みんな笑ってるぞ。サプリメントアドバイザーの資格を持ってるのに、営業成績が悪いし、解約も多いってな!

と吐き捨てました。

あれ?
解約を指示したZ課長は
ダンマリ決め込んだのでしょうか。
部下を見捨てるクソアマですね。

この発言について、
裁判官は

裁判官

専務が、Xさんに対し、その人格を否定するような罵倒を行っており、不法行為にあたる

と判断しました。

この発言が、どの証拠から認定されたか分かりませんでした。
判決文には現れず。     

〈Xさんの主張+仲間の証言〉かな〜
と推測しています。

仲間、チョー大事ですね。
会社がクソなので、Xさんと仲間の主張を信用してくれたのかも

さらに、Xさんは、

Xさん

この会議のとき、「役立たず」「無能」「辞めろ」とも言われました

と主張したんですが、
・・・判決では認められず。

パワハラされそうな会議があるときは録音しましょう!
この発言も認定されれば、
慰謝料がアップしたかも。

ちなみに、Xさんは専務も訴えたんですが、
〈人違い〉との理由で棄却されてます

(特定できなかったか・・・)

パワハラ2(仲間はずれイジメ)

その後、
Xさんを仲間はずれにするようなイジメが
行われました。

イジメ
  • 常に監視されているような状態に置く
  • 新人社員をXさんに近づけない
  • 挨拶をしても無視
  • Y部長、Z課長が、Xさんに味方する社員を「ろくでもない連中」と言う
裁判官

Y部長・Z課長が、Xさんに対し、いじめを行ったものと認められ、不法行為にあたる

この発言も、どの証拠から認定されたか分かりませんでした。
〈Xさんの主張+仲間の証言〉かな〜

Xさんは、さらに

Xさん

Z課長から 「仕事もないのにまだ辞めないのね」「席がえで役立ずのロクでもない人を座らせているのに、まだいるつもりなのかしら」など毎日いじめられてました


と主張してたのですが、
判決では触れられず。

録音してたら認定してくれたかもしれません。そうなると慰謝料アップの可能性あり。イジメが始まったら録音しましょう!

そして、忘年会シーズンに入ります。

パワハラ3(ウソつき呼ばわり)

ウソつき!

Y部長・Z課長が、
Xさんを呼びつけました。

そして、

あなた!〈私たちが会社のお金を横領して忘年会した〉って言ったらしいわね。ウソつき!

と吐き捨てました。

状況は分らないんですが、
裁判官が名誉毀損って言ってるので、
ほかの社員がいる前で、かな〜

この発言について
裁判官は、

裁判官

Xさんの名誉を毀損する言動

と認定しました。

ここも、どんな証拠から認定したか不明なんですよね〜。

会社がクソだったので、
Xさんチームが信用されたか。

クソ上司に呼び出された時は、
録音しましょう。

RECボタンを押して、
スマホを胸ポケット忍ばせましょう。

で、ついに、
Xさんを辞めさせるための
追い込みに入ります。

パワハラ4(退職への追い込み)

出てけー!

ある日、
ムチャを言われて
その日のうちに会社から追い出されました

出来事は次のとおり

追い出し事件

まず、
本社にいる上司から、
Xさんに電話が入りました。

本社の上司

テレアポの仕事に異動だ!

突然の異動命令でした。
テレアポの多くは、
パートかアルバイトの方が担当していました。

Xさんは、正社員からの降格だ考え、

Xさん

テレアポに異動しません。もし命令なら文書でお願いします

と答え、電話を終えました。
「文書」は労働基準監督署のアドバイスです

そして、Xさんは、Z課長に

Xさん

異動しないで頑張ります

と言いました。

午後2時30〜40分ころ、
専務からXさんに電話が入りました。

専務は大声で

専務

アナタがいると会社がつぶれてしまう!言うことを聞けなければ自宅待機だ!


と怒鳴りました。

電話を切られてすぐ、
Z課長がXのところに来ました。

専務から〈3時までにすべての荷物をもって会社を出て行かせろ〉と言われました。必ず午後3時までにすべての私物を持って出ていきなさい!

と命令しました。
30分たらずで出て行けと。

Xさんは命令に従いました。

親しい社員2名に手伝ってもらって、
重い荷物(多くの本)を持って
会社を出ました。

この〈追い出し事件〉について、
裁判官はザックリ

裁判官

テレアポへの降格は嫌がらせでしょ。違法。サイテー

と認定しました。

うつ病 & ヘルニアに

  • うつ病  
     Xさんは、うつ状態に陥ったため、病院にいきました。  
     診断結果は〈極度のストレスにより反応性うつ状態で就労不可能な状態〉でした。
  • ヘルニア
     追い出し事件で荷物を運び出したときに、激しい腰の痛みを覚えました。
     病院で受診したところ
    〈頚椎上がり症、腰部脊柱管狭窄症〈重症〉、腰椎椎間板ヘルニア〉の傷害があるとの診断結果でした。

パワハラが原因か?

Xさんの主張は

Xさん

パワハラが原因でうつ病&ヘルニアになりました。慰謝料などを請求します

というものです。

うつ病&ヘルニアによる慰謝料などを請求するためには、
〈パワハラが原因でうつ病&ヘルニアになった〉
と認定される必要があります。

正式には〈相当因果関係〉といます。

少しむずかしいですが、
めちゃ大事なので説明します。

『パワハラとうつ病&ヘルニアとの間に
相当因果関係が認められるか?』
というお話です。

相当因果関係が認められれば
うつ病・ヘルニアを前提とした賠償請求が認められる

相当因果関係が認められなければ、
うつ病・ヘルニアを前提とした賠償請求が認められない

ということになります。

「が原因で」なったんです!当たり前です!パワハラでうつ病になったんだから払えー!

というお気持ちはごもっともです。

しかし、裁判では
が原因で
を完全にクリアする必要があるんです。

〈パワハラが原因で○○になったかどうか?〉
は、裁判でめちゃくちゃ争われます
そして、長引きます。

会社は徹底的に否定します。
相当因果関係が認められちゃうと、
数百万円も賠償額が上がることもあるからです。

この事件でも、
会社は、
〈パワハラが原因でうつ病&ヘルニアになったわけではない〉
と主張しました。

しかし、裁判所は

裁判官

パワハラが原因だろが!
クソが!

と認定しました。
※ こんな口のワルい裁判官はいない

林メモ

ヘルニアは分かるんです。
「ぜんぶ持って30分で出てけ!」
て言われたときに腰をイワしてるので。
相当因果関係はすんなり認められる。

驚きなのは、
うつ病との因果関係も
すんなり認定してることなんです。

通常、うつ病のときは、
カルテの記載を細かく検討して
結論を出すんです。

今回はそれがなく、
すんなり認定。

やはり会社がクソすぎたので、
Xさんに同情したのかも。
裁判官も人間ですから!

ここまでで、
パワハラが原因でうつ病&ヘルニアになった
と認定されました。

お次は、賠償額です。

裁判所が認めた金額

慰謝料

慰謝料80万円です。

慰謝料の金額の決め方は、
ほんとにブラックボックスです。  

↓ 判決そのままです

裁判官

認定した事実、本件事案の内容その他一切の事情を考慮すると、Xさんの精神的苦痛を慰謝するには、80万円の支払いもって相当と認める

理由はこれだけですw  

なんで60万じゃなくて80万なの?なんで100万じゃなくて80万なの?


と聞きたくなる気持ちはわかりますが、

理屈はありませんw
裁判官のフィーリングで
「えい!」と決めます。

治療費 

治療費約5万円です。

判決では〈証拠省略〉となってましたが、
病院の領収書などが提出されたと思います。

領収書などはキチンと残しておきましょう。
病院に行くまでの交通費やガソリン代ももらえます。

これは、
〈相当因果関係〉が認められたからこそ、
ゲットできています。

パワハラが原因で○○になった
🔽
じゃー、〇〇を治療する費用は賠償しなさい

という流れです。

【が原因で】 チョー大事

逸失利益 

逸失利益225万6000円です(1年分)  

逸失利益とはザックリ

裁判官

パワハラが原因で1年間はたらけない体になった。だから1年分の収入を賠償せよ

というものです。

というものです。

この事件では、
Xさんが主張する金額
まるまるが認められています

かなり異例だと思います。
判決ではだいたい削られます。
〈1年じゃなくて、8ヶ月ね〉とか。

やはり、何度も言うように、
会社のクソさが影響してるのかな。

裁判官がXさんに同情して、
Xさんの主張ぜんぶ認めてあげる!みたいな。

逸失利益も〈相当因果関係〉が認められることが大前提なんです。  

パワハラが原因でうつ病&ヘルニアに
🔽
完治して働けるまでにどれくらいかかるだろうか、という話に進みます。  

今回は1年と認定されました。
なので、1年分の逸失利益が認められました。

【が原因で】 チョー大事

元・社員が裁判に協力

ここで、
涙ちょちょぎれるエピソードを。

元・社員が
Xさんの味方をしてくれたんです。

会社は、
医療的な効能を伝えるマニュアルを配り、

このうたい文句で
老人にセールスしろ!

と指示していました。
※ 薬事法違反

しかし、裁判では
会社側は、その事実を否定。

会社のヤツ

えぇ!そんなん言ってませんよ!〈そういうセールスはするな〉と強く言い聞かせていました。逆にXさんが医療的な効能を述べるセールストークをしてたんですよ。だから〈それは違法だからやめなさい〉と指摘したんです

と大ウソをこいたんです。
クソの頂点を極めています。

言った言わないの水掛け論。
裁判官は悩むと思うんです。

ここで登場したのが元・社員。
Xさんの味方をしてくれました。

元・社員

会社はウソついてます。医療的効能を伝えるセールストークを指示されてました。そういうマニュアルも配られてました。

勝負ありです。

クソみたいな会社だったこともあり、
裁判官は、元社員の証言を信用しました。

裁判するとき、仲間、チョー重要です

パワハラ以外の請求もあり  

Xさんは、
パワハラ以外にも、
3つの請求をしてました。

認められた金額は

  • 未払い給料 30万円
  • 残業代  21万円
  • 商品代金 18万円
     会社が購入を強制してました。

パワハラしてる会社は、
叩けば色々でてきますね。

こういうクソみたいな会社だったから、


裁判官の心が
Xさんに傾いた可能性ありますね。

裁判の長さ  

だいたい1年半くらいです。  
うつ病になってしまった場合は長引きますね。  
相当因果関係のあるなしで、
ガチガチに争われますから。  

うつ病になっていないケースは、
だいたい9ヶ月〜1年くらいで終わります。

おしまいに

まとめると、

パワハラ
  • 18万円の損害をどうしてくれるんだ!と怒鳴る
  • 仲間はずれにするイジメ
  • 「あなたはウソつきだ!」
    と名誉を毀損
  • 「30分で荷物まとめて出てけ!」
    と怒鳴り、ホンマに出て行かせた

のパワハラが認められました。

Xさんの主張が
認められなかった部分もあります。

会議など
パワハラされそうな状況になりそうな時は、
録音しましょう。

裁判は証拠が命です。
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【証拠9選】パワハラ上司&会社を訴えるために【ゼッタイ必要】

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