【裁判事例】一斉送信メールで部下の名誉を毀損｜パワハラの可能性も大

こんにちは。
弁護士の林孝匡です（プロフィール）

上司が部下に、
こんなメールを送った
パワハラ事件です。

しかも、

・ccに、他の従業員10数名を入れて
・赤字で、大きな字で

保険会社で起きた事件です
　三井住友海上火災保険事件/東京高裁 H17.4.20

このメールを見た部下が、

と、法廷バトルへGo

地裁の裁判官は、

と判断したんです。

しかし！

高裁で逆転！

高等裁判所は、

と逆転判断。

少ないですが、
5万円の慰謝料が認められました。
Xさんは100万円を請求してました

くわしく解説します。

そして、

記事の後半では

と悩んでる方に向けて、

を解説してます。

約6,000文字あるので、
気になるところだけでもOKです。

目次をササッと眺めてみて下さい。
タップで飛べます。

時間がある方は

ぜんぶ読んで、知識武装してください

登場人物

保険会社で起きた事件。

部下と上司の間に、
リーダーのAさんがいます。

役職順は、

上司 → リーダーA → 部下

です。

ことの発端は、

リーダーAが、部下にイラツイたから

上司が赤文字メールを送った理由

部下は、
自分の仕事に不満を持っていたんです。

と不満を持ってました。

カンタンに説明します。

部下が所属する部署は、
保険金支払事務を行っていました。 　

その事務には、2つの仕事があったんです。

• 賠償保険の業務
• 傷害保険の業務

上の【賠償保険の業務】の方が、
スキルを求められる仕事なんです。

なのに、Xさんは、
下の【傷害保険の業務】を担当させられて、

となってたんです。

このように、
不満を持ちながら仕事をしてたので、
処理件数が落ちてたんです。

で、ある日、
リーダーAがブチギレ。

リーダーAが、
部下に対して、
処理件数をあげるよう

叱咤激励したんです。

叱咤激励って、だいたいパワハラです

当時、強化期間だったようです。
部署の手持ち件数を減らすを取組み
（Dキャリーアウトと呼ばれてます）

しかし、
1週間たっても様子は変わらなかったようです。

なので、リーダーAは、
部下に怒りのメールを送りました。

CCに、
上司や、他の従業員10数名も入れて。

メールを受けとった上司は、

と判断しました。
で、
このメールを送ったんです。
↓↓↓

このメールを見た部下が

となって、法廷バトルへGo

部下の主張

Xさんの法的主張は、2つ

くわしい主張を知りたい方は、コチラ
↓↓↓

最終ジャッジ（高裁の判断）

で、最終ジャッジ（高裁の判断）

名誉毀損だけが認められ、
慰謝料5万円となりました。

パワハラは認められず。

名誉毀損の基礎知識はコチラ
→パワハラ上司よ【いまの暴言、ヒドくねーか？】名誉毀損で訴えてやる！

名誉毀損について

地裁と高裁の判断が、
真逆になったんですよね〜。

地裁は、

と判断したけど、

高等裁判所は、

と、逆転裁判。

同じ事実なのに、
判断が真逆。

・・・これが裁判の現実。

裁判は運もあるんです。

【裁判官ガチャ】ってやつです

どの裁判官にあたるか、
天に祈るのみ。

地裁の判断

地裁の判断、
ちょいビックリします。

このメールについて
↓↓↓

と。

さらに、
私はここにビックリしたんですが、

と判断したです。

いや、名誉毀損やろ！

「無能で会社に必要のない人間だ」
というメールを、
他の従業員10数人に送るんやで。
名誉毀損やろ。

そら部下もブチ切れて、

高裁の判断

で、一転。

高裁では、名誉毀損が認められました。

ホッ。

ざっくり言うと、

なので、
こういうこと言われてる方
↓↓↓

録音しましょう！
それを証拠にして訴えれば
勝てる可能性あります。

裁判は証拠が命です。
証拠の集め方はコチラ
→ 【ゼッタイ必要】なパワハラ証拠9つと | 証拠が役立つケース7つ

パワハラになる言葉の一覧はコチラ
→【いまの発言、パワハラだぜ】上司が言ってはいけない言葉｜アウト一覧

公開処刑はコチラ
→ 【公開処刑】みんなの前で叱るのはパワハラ | 録音して反撃開始だ

パワハラについて

裁判では認められず

パワハラとは認められませんでした。
地裁でも高裁でも。

たぶん高裁は、

と思ったんじゃないかな。

↓ 判例の解説

2022年現在なら、
パワハラになる可能性は十分にあります

この判決は、2005年(H17) なんです。

2022年現在、
パワハラが社会問題となってます。

パワハラ防止法もスタートしましたし。　　　　　

裁判官は、社会の動きを読みとります。 　　　
時代とともに
裁判官の価値判断も変わってきます。

たった1回でもパワハラになる

マジです。

繰り返されなくても、

たった1回でもパワハラです

この保険会社の社内規則、
間違ってるんです。
↓↓↓

【保険会社の社内規則】
パワーハラスメントとは〈他社に対して社会的勢力を利用し、職務と直接関係のない、あるいは適切な範囲を超えた嫌がらせの働きかけをし、それを繰り返すこと。そしてその行為を受けたものが、それをハラスメント(嫌がらせ)と感じたとき〉に成立します

とあるんですが、
パワハラ防止法に照らせば
間違ってるんです。

〈繰り返さなくても〉パワハラになります。

たった1回でもパワハラです。
たった1回の発言でもパワハラです。

地裁の裁判官も、

と述べ、
〈繰り返し〉という点に
疑問を投げかけています。

1回の発言でもパワハラにあたるので、
あなたがすべきことは、ただ1つ。

常時録音

ひたすら獲物(パワハラ発言)を待つ。

ワンチャンを狙います。

録音できたら、ほぼ勝ちです。

裁判の長さ 　

けっこう長いですね。

合計　1年4ヶ月〜1年10ヶ月　
〈内訳〉
　　地裁　1年〜1年半 　
　　高裁　4ヶ月

裁判例のまとめ

認められた慰謝料は
5万円と低かったですが、
部下の方の心は晴れたと思います。

上司に一矢報いることが出来たと思いますので。

部下の方は、

ってことで
訴訟に踏み切ったのかもしれません。

弁護士費用たかいですからね。
〜100万円かかる。

認められる慰謝料が低いことも覚悟して、
訴訟に踏み切ってると思います。

赤字、覚悟ですよね。

弁護士保険

なので、

最近は、弁護士保険に入ってる方が多いですね。
「一家に一弁護士」の時代に突入してます。

イザという時に相談できれば心強いです。
【無料】で資料請求できます
弁護士法人Mikata（ミカタ）

TOKYO MXで放映されてました（約6分）

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ここからは、

という方に向けて、
対策をお伝えします。

パワハラって、何？

については、コチラをご覧ください。

これを読めば、
パワハラの基礎知識を押さえれます。

▲　この記事で、

パワハラの6類型

と

パワハラの3要件

を詳しく解説しています。

会社を辞めたい方

という方。

▼ 辞め方は、2通りです

パワハラ会社なら、
退職代行をオススメしてます。

会社都合の勝ちとり方

という方。

パワハラが原因で退職したことを、
証明できれば
会社都合を勝ちとれます。

詳しくはコチラをご覧ください
→ 【会社都合へチェンジ！】パワハラが原因で退職したなら【異議申立て】

休職したい方

という方。

詳しくはコチラをご覧ください
→ 【生存戦略】パワハラで休職するときに知っておくべきこと｜事前準備

上司や会社にアクションを起こしたい方

という方。

の順番で解説します。

証拠が命

何を望むにせよ、

証拠が命です

証拠がないとキツイです。
あれば、現状を変えれます。

証拠の種類は、こんな感じです

詳しくはコチラをご覧ください
→ 【ゼッタイ必要】なパワハラ証拠9つと | 証拠が役立つケース7つ

パワハラを何とかしたい方

証拠を集めていただいたところで、

まずは

という方。

証拠をひっさげて、

に申し入れましょう。

順番に解説します。

社内の相談窓口に申し入れる

まずは、
社内の相談窓口に駆け込んでみて下さい。

と申し入れましょう。

あなたの申し入れを、会社は無視できません

寝耳に水的リアクション！
知らんのかい！

パワハラ防止法で義務になってます
（2022年4月1日〜すべての企業に適用）

会社がすべきことは、以下の10個

会社は、
あなた・上司、周りの人から事情を聴取して、
事実関係を確認しなければならないんです。

で、
パワハラが確認できたら、

みたいな、
しかるべき措置をとらなければならないんです。

なので、
証拠を持って、

と申し入れましょう。

▼ あなたの武器になる

パワハラ防止法の詳細はコチラ
→ 【中小企業で働いてる方へ】パワハラ防止法の使い方 | 厚生労働省指針を徹底解説

・・・

・・・・・

・・・・・・・

って場合は、

外部機関に申し入れる

外部機関に申し入れましょう。

▼ 外部機関はこんなところです

たとえば
労働局や労働委員会に
申し立てて

と認めてくれれば、
会社に指導してくれます。

もし指導に従わなければ、
労働局や労働委員会が

と呼び出してくれます。

詳しくはコチラをご覧ください
→ 【ここに駆け込もう】パワハラされたら相談するところ | 全手順を解説

上司を訴えたい方（損害賠償請求）

OK、半沢。

▼ コチラに全手順を書いています。
→ 【反撃開始】パワハラ上司を訴える方法 | 弁護士が4ステップを解説

労災を勝ちとりたい方

という方。

精神的ストレスが【強】
と認定されれば
労災認定を勝ちとれます。

詳しくはコチラをご覧ください
→ パワハラでも労災は下りる！認定率アップ中｜証拠があれば勝てる確率 ↑

鬼滅の刃のパワハラ会議

最後、かるく読み物を
→ もし無惨を訴えたら？『鬼滅の刃』のパワハラ会議 | 弁護士が解説

鬼滅の刃のパワハラ会議、
おそろしかったです。

パワハラが盛りだくさん。

良ければご覧ください。

さいごに

この記事をじっくり読んで、
対策を立ててみて下さいね。

これから
ストレスのない仕事人生を歩めるように
願っています。

あと、

などあれば
〒 林へポスト に入れていただければ
嬉しいです。

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